【2025年度2Q】8058 三菱商事

決算速報

エグゼクティブサマリー

2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、前年同期に計上された特殊要因からの反動が主因となり、大幅な減益を記録した。親会社の所有者に帰属する中間利益は3,558億円(前年同期比42.4%減)、収益は8兆6,378億円(同7.7%減)となった。

主な減益要因は、前年同期に計上されたローソンの持分法適用会社化に伴う再評価益や、豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益といった一過性の利益の剥落である。特に、金属資源セグメントの利益が大幅に減少し、全体の業績を押し下げた。

一方で、株主還元については、持続的な利益成長に合わせた「累進配当」方針を継続し、中間配当を前年同期の50円から55円へと増配。これに加え、機動的な自己株式の取得も実施している。

通期の連結業績予想は、2025年5月2日に公表された親会社の所有者に帰属する当期利益7,000億円(前期比26.4%減)から変更はない。

1. 連結業績概要

2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~9月30日)の連結経営成績は、収益・利益ともに前年同期比で大幅に減少した。

項目2026年3月期 中間期2025年3月期 中間期増減率
収益8,637,843百万円9,354,751百万円△7.7%
税引前利益458,472百万円903,514百万円△49.3%
中間利益391,566百万円696,012百万円△43.7%
親会社の所有者に帰属する中間利益355,796百万円618,055百万円△42.4%
基本的1株当たり中間利益91.87円152.73円

主な増減要因

当中間期の減益は、主に前年同期に発生した特殊要因の反動によるものである。

  • 収益・売上総利益の減少: ローソンが持分法適用会社となったことに伴い、連結対象から外れたことが主な要因。
  • 有価証券損益の減少(△1,831億円): 前年度に計上したローソン持分法適用会社化に伴う再評価益の反動減。
  • 固定資産除・売却損益の減少(△1,435億円): 前年度に計上した豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益の反動減。
  • その他の損益の減少(△587億円): 前年度に計上した千代田化工建設関連の引当金戻入益の反動減。

2. 財政状態とキャッシュ・フロー

(1) 財政状態

当中間連結会計期間末の総資産は21兆5,003億円と、前連結会計年度末からほぼ横ばいであった。一方、資本合計は、大規模な自己株式の取得が主因となり、5,539億円減少し9兆6,004億円となった。

項目2026年3月期 中間期末2025年3月期末増減
資産合計21,500,273百万円21,496,104百万円+4,169百万円
負債合計11,899,894百万円11,341,782百万円+558,112百万円
資本合計9,600,379百万円10,154,322百万円△553,943百万円
親会社所有者帰属持分8,891,457百万円9,368,714百万円△477,257百万円
親会社所有者帰属持分比率41.4%43.6%△2.2 pt
ネット有利子負債(リース負債除く)3兆8,124億円3兆472億円+7,652億円
  • 資産: LNG関連銘柄の新規取得により非流動資産が増加した一方、自己株式取得により現金及び現金同等物が減少し、流動資産は減少した。
  • 負債・資本: 社債及び借入金の増加により負債が増加。自己株式の取得(約5,996億円)により、当社の所有者に帰属する持分が減少した。

(2) キャッシュ・フロー

当中間期の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比で1,928億円減少し、1兆3,438億円となった。

項目2026年3月期 中間期2025年3月期 中間期増減
営業活動によるCF4,280億円9,515億円△5,235億円
投資活動によるCF△1,988億円△3,925億円+1,937億円
フリーキャッシュ・フロー2,292億円5,590億円△3,298億円
財務活動によるCF△4,218億円△9,804億円+5,586億円
現金及び現金同等物の増減△1,928億円△75億円△1,853億円
  • 営業活動によるCF: 営業収入や配当収入の減少により、前年同期から大幅に減少した。
  • 投資活動によるCF: 前年度のローソン持分法適用会社化に伴う現預金減少の反動などにより、キャッシュ・アウトフローが縮小した。主な投資案件には、天然ガス・LNG関連事業や米州電力事業への新規・更新投資が含まれる。
  • 財務活動によるCF: 自己株式の取得(約5,809億円)や配当金の支払い(約1,989億円)があったものの、社債・借入による調達が増加したため、キャッシュ・アウトフローは前年同期より縮小した。

3. セグメント別業績

当社の所有者に帰属する中間純利益ベースでは、前年同期に巨額の利益を計上した金属資源セグメントとS.L.C.(コンシューマー産業)セグメントが大幅減益となったことが、全体の業績を押し下げた。一方で、社会インフラ、電力ソリューションのセグメントは増益を確保した。

セグメント2026年3月期 中間利益 (百万円)2025年3月期 中間利益 (百万円)
地球環境エネルギー85,82294,635
マテリアルソリューション20,09636,929
金属資源41,576195,666
社会インフラ42,897145
モビリティ38,72354,971
食品産業34,08760,435
S.L.C.49,222156,275
電力ソリューション16,821△6,555
合計329,244592,501
その他及び調整・消去26,55225,554
連結合計355,796618,055
  • 金属資源: 前年度の豪州原料炭事業の資産売却益の反動により、利益が大幅に減少した。
  • S.L.C.: 前年度のローソン再評価益の反動が主な減益要因。
  • 社会インフラ: 前年度は利益が僅少であったが、当期は大幅に伸長した。
  • 電力ソリューション: 前年度の損失から黒字に転換した。

4. 株主還元と通期業績予想

(1) 株主還元

  • 配当方針: 持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を基本方針としている。
  • 中間配当: 2026年3月期の中間配当は、前年同期比5円増の1株当たり55円を実施。
  • 年間配当予想: 2026年3月期の年間配当は、前期比10円増の110円を予想している。
  • 自己株式取得: 累進配当に加え、機動的な追加還元として自己株式の取得も実施している。当中間期において約5,996億円の自己株式を取得した。
配当金(円/株)第2四半期末期末合計
2025年3月期実績50.0050.00100.00
2026年3月期55.00
2026年3月期予想55.00110.00

(2) 通期業績予想

2026年3月期通期の連結業績予想については、2025年5月2日に公表した数値を据え置いている。

項目2026年3月期 通期予想 (百万円)対前期増減率
親会社の所有者に帰属する当期利益700,000△26.4%
基本的1株当たり当期利益186.74円

(注)本資料に記載されている業績予想等の将来に関する記述は、資料作成時点で入手可能な情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を約束する趣旨のものではない。実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性がある。

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