エグゼクティブサマリー
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結業績は、前年同期に計上された特殊要因からの反動が主因となり、大幅な減益を記録した。親会社の所有者に帰属する中間利益は3,558億円(前年同期比42.4%減)、収益は8兆6,378億円(同7.7%減)となった。
主な減益要因は、前年同期に計上されたローソンの持分法適用会社化に伴う再評価益や、豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益といった一過性の利益の剥落である。特に、金属資源セグメントの利益が大幅に減少し、全体の業績を押し下げた。
一方で、株主還元については、持続的な利益成長に合わせた「累進配当」方針を継続し、中間配当を前年同期の50円から55円へと増配。これに加え、機動的な自己株式の取得も実施している。
通期の連結業績予想は、2025年5月2日に公表された親会社の所有者に帰属する当期利益7,000億円(前期比26.4%減)から変更はない。
1. 連結業績概要
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~9月30日)の連結経営成績は、収益・利益ともに前年同期比で大幅に減少した。
| 項目 | 2026年3月期 中間期 | 2025年3月期 中間期 | 増減率 |
| 収益 | 8,637,843百万円 | 9,354,751百万円 | △7.7% |
| 税引前利益 | 458,472百万円 | 903,514百万円 | △49.3% |
| 中間利益 | 391,566百万円 | 696,012百万円 | △43.7% |
| 親会社の所有者に帰属する中間利益 | 355,796百万円 | 618,055百万円 | △42.4% |
| 基本的1株当たり中間利益 | 91.87円 | 152.73円 | – |
主な増減要因
当中間期の減益は、主に前年同期に発生した特殊要因の反動によるものである。
- 収益・売上総利益の減少: ローソンが持分法適用会社となったことに伴い、連結対象から外れたことが主な要因。
- 有価証券損益の減少(△1,831億円): 前年度に計上したローソン持分法適用会社化に伴う再評価益の反動減。
- 固定資産除・売却損益の減少(△1,435億円): 前年度に計上した豪州原料炭事業における有形固定資産の売却益の反動減。
- その他の損益の減少(△587億円): 前年度に計上した千代田化工建設関連の引当金戻入益の反動減。
2. 財政状態とキャッシュ・フロー
(1) 財政状態
当中間連結会計期間末の総資産は21兆5,003億円と、前連結会計年度末からほぼ横ばいであった。一方、資本合計は、大規模な自己株式の取得が主因となり、5,539億円減少し9兆6,004億円となった。
| 項目 | 2026年3月期 中間期末 | 2025年3月期末 | 増減 |
| 資産合計 | 21,500,273百万円 | 21,496,104百万円 | +4,169百万円 |
| 負債合計 | 11,899,894百万円 | 11,341,782百万円 | +558,112百万円 |
| 資本合計 | 9,600,379百万円 | 10,154,322百万円 | △553,943百万円 |
| 親会社所有者帰属持分 | 8,891,457百万円 | 9,368,714百万円 | △477,257百万円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 41.4% | 43.6% | △2.2 pt |
| ネット有利子負債(リース負債除く) | 3兆8,124億円 | 3兆472億円 | +7,652億円 |
- 資産: LNG関連銘柄の新規取得により非流動資産が増加した一方、自己株式取得により現金及び現金同等物が減少し、流動資産は減少した。
- 負債・資本: 社債及び借入金の増加により負債が増加。自己株式の取得(約5,996億円)により、当社の所有者に帰属する持分が減少した。
(2) キャッシュ・フロー
当中間期の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比で1,928億円減少し、1兆3,438億円となった。
| 項目 | 2026年3月期 中間期 | 2025年3月期 中間期 | 増減 |
| 営業活動によるCF | 4,280億円 | 9,515億円 | △5,235億円 |
| 投資活動によるCF | △1,988億円 | △3,925億円 | +1,937億円 |
| フリーキャッシュ・フロー | 2,292億円 | 5,590億円 | △3,298億円 |
| 財務活動によるCF | △4,218億円 | △9,804億円 | +5,586億円 |
| 現金及び現金同等物の増減 | △1,928億円 | △75億円 | △1,853億円 |
- 営業活動によるCF: 営業収入や配当収入の減少により、前年同期から大幅に減少した。
- 投資活動によるCF: 前年度のローソン持分法適用会社化に伴う現預金減少の反動などにより、キャッシュ・アウトフローが縮小した。主な投資案件には、天然ガス・LNG関連事業や米州電力事業への新規・更新投資が含まれる。
- 財務活動によるCF: 自己株式の取得(約5,809億円)や配当金の支払い(約1,989億円)があったものの、社債・借入による調達が増加したため、キャッシュ・アウトフローは前年同期より縮小した。
3. セグメント別業績
当社の所有者に帰属する中間純利益ベースでは、前年同期に巨額の利益を計上した金属資源セグメントとS.L.C.(コンシューマー産業)セグメントが大幅減益となったことが、全体の業績を押し下げた。一方で、社会インフラ、電力ソリューションのセグメントは増益を確保した。
| セグメント | 2026年3月期 中間利益 (百万円) | 2025年3月期 中間利益 (百万円) |
| 地球環境エネルギー | 85,822 | 94,635 |
| マテリアルソリューション | 20,096 | 36,929 |
| 金属資源 | 41,576 | 195,666 |
| 社会インフラ | 42,897 | 145 |
| モビリティ | 38,723 | 54,971 |
| 食品産業 | 34,087 | 60,435 |
| S.L.C. | 49,222 | 156,275 |
| 電力ソリューション | 16,821 | △6,555 |
| 合計 | 329,244 | 592,501 |
| その他及び調整・消去 | 26,552 | 25,554 |
| 連結合計 | 355,796 | 618,055 |
- 金属資源: 前年度の豪州原料炭事業の資産売却益の反動により、利益が大幅に減少した。
- S.L.C.: 前年度のローソン再評価益の反動が主な減益要因。
- 社会インフラ: 前年度は利益が僅少であったが、当期は大幅に伸長した。
- 電力ソリューション: 前年度の損失から黒字に転換した。
4. 株主還元と通期業績予想
(1) 株主還元
- 配当方針: 持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を基本方針としている。
- 中間配当: 2026年3月期の中間配当は、前年同期比5円増の1株当たり55円を実施。
- 年間配当予想: 2026年3月期の年間配当は、前期比10円増の110円を予想している。
- 自己株式取得: 累進配当に加え、機動的な追加還元として自己株式の取得も実施している。当中間期において約5,996億円の自己株式を取得した。
| 配当金(円/株) | 第2四半期末 | 期末 | 合計 |
| 2025年3月期実績 | 50.00 | 50.00 | 100.00 |
| 2026年3月期 | 55.00 | – | – |
| 2026年3月期予想 | – | 55.00 | 110.00 |
(2) 通期業績予想
2026年3月期通期の連結業績予想については、2025年5月2日に公表した数値を据え置いている。
| 項目 | 2026年3月期 通期予想 (百万円) | 対前期増減率 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 700,000 | △26.4% |
| 基本的1株当たり当期利益 | 186.74円 | – |
(注)本資料に記載されている業績予想等の将来に関する記述は、資料作成時点で入手可能な情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を約束する趣旨のものではない。実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性がある。




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