エグゼクティブサマリー
2026年3月期第2四半期決算は、増収・最終増益となりました。収益は前年同期比0.4%増の1兆2,403億円に達しましたが、税引前利益は販売費及び一般管理費の増加が影響し、同8.9%減の538億円となりました。一方で、親会社の所有者に帰属する中間純利益は、同2.2%増の453億円を確保しました。
この業績は、セグメント間の動向が大きく影響しています。「航空・社会インフラ」セグメントが防衛関連取引や資産売却益により大幅な増益を達成し、「エネルギー・ヘルスケア」セグメントも新規連結効果で利益を伸ばしました。これが、石炭市況の下落により大幅減益となった「金属・資源・リサイクル」セグメントの落ち込みを補う形となりました。
財政状態については、連結子会社の新規取得などにより総資産、負債ともに増加し、親会社所有者帰属持分比率は前期末の31.4%から30.2%へ若干低下しました。キャッシュ・フローでは、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅な収入超過に転じています。
通期業績予想については、親会社株主に帰属する当期純利益1,150億円の見通しを据え置いた一方で、売上総利益と税引前利益の予想は下方修正されました。株主還元に関しては、年間配当を前期の150円から165円に増配する計画であり、累進的な配当方針を継続しています。
1. 連結経営成績の概要
1.1. 全体業績
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結経営成績は、収益が微増したものの、販管費の増加により税引前利益は減少しました。しかし、最終的な親会社所有者帰属の中間純利益は増益を達成しました。
| 勘定科目 | 2026年3月期中間期 | 2025年3月期中間期 | 増減額 | 増減率 (%) |
| 収益 | 1,240,346 百万円 | 1,235,225 百万円 | +5,121 百万円 | +0.4% |
| 売上総利益 | 171,608 百万円 | 165,625 百万円 | +5,983 百万円 | +3.6% |
| 税引前中間利益 | 53,791 百万円 | 59,022 百万円 | △5,231 百万円 | △8.9% |
| 親会社の所有者に帰属する中間純利益 | 45,275 百万円 | 44,311 百万円 | +964 百万円 | +2.2% |
| 基本的1株当たり中間利益 | 216.45 円 | 203.93 円 | – | – |
- 収益: 石炭事業での市況下落による減収があったものの、省エネ関連事業の新規連結や取引増加が寄与し、全体では0.4%の増収となりました。
- 売上総利益: 収益の増加に伴い、前年同期比3.6%の増益となりました。
- 税引前中間利益: 売上総利益は増加したものの、販売費及び一般管理費の増加が響き、8.9%の減益となりました。
- 親会社の所有者に帰属する中間純利益: 税引前利益の減少にもかかわらず、法人所得税費用の減少などにより、2.2%の増益を確保しました。
1.2. セグメント別業績
親会社の所有者に帰属する中間純利益について、セグメント別の業績は以下の通りです。「航空・社会インフラ」と「エネルギー・ヘルスケア」が業績を牽引した一方、「金属・資源・リサイクル」が大幅な減益となりました。
| セグメント名称 | 2026年3月期中間期実績 (百万円) | 2025年3月期中間期実績 (百万円) | 増減額 (百万円) | 主な増減要因 |
| 自動車 | 772 | 128 | 644 | 米国関税措置によるプエルトリコ事業での減収があったが、中南米事業の収益貢献により増益。 |
| 航空・社会インフラ | 10,539 | 5,800 | 4,739 | 防衛関連や航空機関連取引の増加に加え、貨車リース事業の一部売却に伴う利益等により増益。 |
| エネルギー・ヘルスケア | 7,532 | 5,110 | 2,422 | 省エネ関連事業の新規連結・取引増加、LNG事業会社の収益貢献等により増益。 |
| 金属・資源・リサイクル | 7,298 | 11,712 | △4,414 | 石炭事業における市況下落、生産効率の低迷等により減益。 |
| 化学 | 10,137 | 9,721 | 416 | 新規投資案件からの収益貢献も開始し、堅調に進捗。 |
| 生活産業・アグリビジネス | 4,319 | 4,391 | △72 | 概ね横ばい。 |
| リテール・コンシューマーサービス | 3,803 | 4,533 | △730 | 概ね横ばい。 |
2. 連結財政状態とキャッシュ・フロー
2.1. 財政状態
当中間連結会計期間末の資産合計は、連結子会社の新規取得などにより前期末比で1,621億円増加しました。有利子負債の増加などにより負債合計も増加した結果、親会社所有者帰属持分比率は30.2%となりました。
| 主要財務指標 | 2026年3月期中間期末 (2025年9月30日) | 2025年3月期末 (2025年3月31日) |
| 資産合計 | 3,249,395 百万円 | 3,087,252 百万円 |
| 負債合計 | 2,225,508 百万円 | 2,079,636 百万円 |
| 資本合計 | 1,023,887 百万円 | 1,007,616 百万円 |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 980,445 百万円 | 968,956 百万円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 30.2% | 31.4% |
| ネット有利子負債 | 968,221 百万円 | 887,289 百万円 |
| ネット有利子負債倍率 | 0.99倍 | – |
- 資産・負債: 連結子会社の新規取得や新規の資金調達により、資産・負債ともに増加しました。
- 資本: 中間純利益の積み上がりにより親会社所有者帰属持分は増加しましたが、配当支払いや自己株式取得、為替変動の影響も受けました。
- 財務基盤: 資金調達構造の安定性維持を基本方針とし、長期調達比率の維持や手元流動性の確保に努めています。資金調達の補完機能として、円貨1,000億円(未使用)及び25.75億米ドル(11.90億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を維持しています。
2.2. キャッシュ・フロー
当中間連結会計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅な収入超過に転じました。一方、投資活動による支出は増加しています。
| キャッシュ・フロー項目 | 2026年3月期中間期 | 2025年3月期中間期 |
| 営業活動によるCF | 31,339 百万円 | △55,240 百万円 |
| 投資活動によるCF | △75,624 百万円 | △36,625 百万円 |
| 財務活動によるCF | 37,098 百万円 | 87,548 百万円 |
| 現金及び現金同等物の中間期末残高 | 186,627 百万円 | 191,688 百万円 |
- 営業活動によるCF: 前年同期の大幅な支出超過から、営業収入や配当収入により313億円の収入超過へと大きく改善しました。
- 投資活動によるCF: 豪州インフラ開発企業や化学関連事業への出資などにより、支出額が前年同期比で390億円増加しました。
- 財務活動によるCF: 配当支払いや自己株式取得による支出があったものの、借入金による調達により収入超過を確保しました。
3. 通期業績予想と株主還元
3.1. 2026年3月期 連結業績予想
2026年3月期の通期連結業績見通しについて、親会社株主に帰属する当期純利益は1,150億円(前期比3.9%増)とする期初予想を維持しました。しかし、売上総利益および税引前利益については下方修正を行っています。
| 勘定科目 | 期初見通し (A) | 修正見通し (B) | 増減額 (B-A) | 増減率 (%) |
| 売上総利益 | 4,000 億円 | 3,800 億円 | △200 億円 | △5.0% |
| 税引前利益 | 1,450 億円 | 1,400 億円 | △50 億円 | △3.4% |
| 当期純利益(当社株主帰属) | 1,150 億円 | 1,150 億円 | – | – |
- 前提条件: 上記の見通しは、為替レートを1米ドル=145円と想定しています。
3.2. 利益配分方針と配当
当社は安定的かつ継続的な配当を経営の最重要課題の一つと位置付けています。「中期経営計画2026」に基づき、累進的な配当方針を継続しています。
- 基本方針:
- 中計期間3ヵ年累計の基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充当。
- 株主資本DOE 4.5%を基本とする累進的な配当。
- 当期の配当計画:
- 年間配当: 1株当たり165円(前期は150円)を予定。
- 内訳: 中間配当82円50銭、期末配当82円50銭。
- 中間配当総額: 17,271百万円(効力発生日:2025年12月1日)。
4. 株式関連情報
4.1. 発行済株式数
2025年8月29日に自己株式15,000,000株を消却したことにより、発行済株式数が減少しました。
| 項目 | 2026年3月期中間期末 (2025年9月30日) | 2025年3月期末 (2025年3月31日) |
| 期末発行済株式数(自己株式を含む) | 210,000,000 株 | 225,000,000 株 |
| 期末自己株式数 | 1,937,416 株 | 14,170,715 株 |
| 期中平均株式数(中間期) | 209,174,673 株 | 217,282,569 株 |



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